「親の七光り」は英語で? 文化の違いから見る表現の面白さ

「親の七光り」とは?
日本語の「親の七光り(おやのななひかり)」は、親の地位・名声・権力などのおかげで、子どもが得をすることを指します。たとえば、親が有名人や政治家の場合、その子どもが特別な扱いを受けたり、簡単にチャンスを得たりすることがありますね。このようなときに、「あの人、親の七光りだね」と言ったりします。この言葉には少し皮肉や批判のニュアンスが含まれており、「本人の実力ではない」といった冷ややかな視線を暗に示すこともあります。
英語で「親の七光り」をどう言う?
実は、英語に「親の七光り」にぴったり対応する単語はありません。しかし、いくつかの表現を組み合わせることで近い意味を表すことができます。
(1) nepotism
「親族を優遇する不公平な行為」という批判的な意味合いが強く、ビジネスや政治の世界でよく使われます。「親の七光り」というより、「身内をえこひいきする仕組み」を指す言葉です。
The company was accused of nepotism after the CEO hired his son as a manager.
CEOが息子をマネージャーに採用し、会社は縁故主義だと非難された。
(2) thanks to one's parent's influence
この表現は「親のコネ」や「社会的な力」に焦点を当てます。文脈によって批判的にも中立的にもなりますが、「親の七光り」の現実的・社会的な側面を表すのにぴったりです。
People say he got the job thanks to his father's influence, not his skills.
彼は実力ではなく、父親の力でその仕事を得たと言われている。
(3) thanks to one's parent's fame
こちらは「親が有名だから子どもも注目される」「名前だけで得している」というような意味です。芸能人やスポーツ選手など、メディア的な“七光り”を表すのに自然な表現です。
Thanks to her mother's fame, she easily won her first audition.
母親の名声のおかげで、彼女は初めてのオーディションを簡単に勝ち抜いた。
(4) ride on one's parent's coattails
直訳すると「親の上着のすそに乗る」、つまり「親の成功に便乗する」という意味です。本人の努力よりも、親の力で成功しているという皮肉的なニュアンスを強く出せます。
He was elected to the city council with the most votes, riding on his father's coattails.
彼が市議会議員にトップ当選したのは父親の七光りのおかげだ。
(5) have a leg up because of one's family background
have a leg up は「一歩リードしている」「有利な立場にある」という意味です。やや穏やかな表現で、「環境的にスタート地点が有利だった」というニュアンスになります。
He had a leg up in the corporate world because of his family background.
彼は家柄のおかげで、ビジネス界で有利な立場にあった。
(6) born with a silver spoon in one's mouth
直訳すると「銀のスプーンをくわえて生まれた」、つまり「裕福な家に生まれた」という意味です。親の財力や地位による恩恵を受けるという点で「親の七光り」に近い表現ですが、批判というより“恵まれた生まれ”を中立的に述べるときに使われます。
He was born with a silver spoon in his mouth and landed a top job at his father's company right after college.
彼は裕福な家に生まれ、大学卒業後すぐに父親の会社の幹部職に就いた。
文化の違いから見るニュアンス
日本では「親の七光り」はやや否定的に使われますが、英語圏では「家のバックグラウンドが良いこと」自体を否定的にとらえない場合もあります。たとえば、アメリカでは「親の成功をどう活かすか」が重視され、"You can use your privilege wisely."(特権を賢く使えばいい)という考え方もあります。つまり、「親の七光り」は英語では単に privilege や advantage として扱われることもあるのです。
さいごに
英語には「親の七光り」という直接的な言葉はありませんが、背景には「個人主義」や「家族主義」といった文化の違いが見えてきます。もし英語で「親の七光り」と言いたいときは、文脈に応じて上記の表現を使い分けてみてくださいね。
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